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戸田恵子 アンパンマンは“異色”

 映画シリーズ通算第30作目となる新作映画も公開中の『アンパンマン』シリーズ。主人公・アンパンマンの声を務めている戸田恵子に、アンパンマンと共に歩んで来た30年、そして原作者である故・やなせたかしさんから受けた影響について話を聞いた。

【写真】“自己犠牲”のヒーロー・アンパンマン。顔をちぎって困っている人を助ける

■誰かのために“自己犠牲”できるのがアンパンマン
 長きに渡り、日本中の子供たちから愛されているアニメ『それいけ!アンパンマン』。初めての収録について聞いたところ、原作者である故・やなせたかしさんが収録現場にやって来たことを回想する。やなせさん自身が収録現場に訪れたのは、後にも先にもこの一回きりだったそうだ。

【戸田恵子】最初にやなせ先生が「アンパンマンは“世界一弱いヒーロー”なんだよ」と語ってくれたことは、いまでも印象に残っています。困っている人がいれば、自分の顔をちぎって、力が弱くなることもいとわない。誰かのために“自己犠牲”できるのがアンパンマンなのだと。それまで当たり前だった “強くてカッコいい”ヒーロー像とは全く違う存在でしたね。それと、やなせ先生は、ばいきんまんの声がハマらないとアニメ全体がダメになると心配していて、『いい声優が見つからなかったら俺がやる!』と仰っていました(笑)。

■子どもたちを見て芽生えた“アンパンマンとしての自覚”

 アンパンマンに出会うまで、戸田は幼児向けアニメのキャラクターを演じたことがなかったため、自分に責任が務まるのかと不安を覚えたこともあるという。だが、はじまって1~2年経ったころ、「自分がこの役を続けなければならない理由」に直面したという。

【戸田恵子】言葉もまだ話せない小さなお子さんが、アンパンマンのぬいぐるみを持っていたり、幼稚園や保育園にアンパンマンの切り抜きや絵本があったり、小児病棟を訪問したときにアンパンマンのグッズがあったり……そうした光景を目の当たりにしてきて、「世の中のお子さんたちが必ず通っていく作品になる」という確信を得たんです。他の声優さんもみんな、そそれまでは“ごく普通のお仕事”として引き受けていたと思うのですが、「私たちは凄い責任のあるお仕事をしているんだ」と自覚していったと思います。

■「人が喜ぶことをおやりなさい」やなせたかしの言葉を胸にアンパンマンを続ける
 これまでにいなかった“自己犠牲”のヒーロー、アンパンマンを生み出した故・やなせたかし。日本を代表する絵本作家との交流は、戸田自身の考え方や価値観にも影響を与えた。

【戸田恵子】東日本大震災があってから、やなせ先生とは晩年まで密に接する機会が多くなりました。先生は「力のある人は瓦礫を片付け、時間のある人は支援に行きましょう。僕は体力がないからできない、でも、“自分にできること”をします。あなた達も“自分にできること”をおやりなさい」と仰っていました。

 “困っている人がいれば、自分ができる最大限の力を使って助ける”これは、アンパンマンの生き方にも通じる教えだ。

【戸田恵子】先生は会うたびに「人が喜ぶことをおやりなさい」と仰っていましたね。アンパンマンを続けていることで、みなさんに喜んでもらえているのだったら、私は一本でも、少しでも長くやりたいと思っています。

 ちなみに、アンパンマンは放送開始当初から“毎週月曜日”に収録が行われているという。これまで30年間、ほぼ休まずに続けることができた秘けつを聞いた。

【戸田恵子】この30年で、朝起きて歯を磨くに等しいくらい“生活の一部”として身についているので、秘けつとか、特に意識することがないんです。親しい友人は、“月曜日といえばアンパンマン”と思っているので誘うのを控えてくれています(笑)。ときどき、アンパンマンの収録自体がお休みになることがあるのですが、逆に違和感があるんですよね(笑)。

(文/中澤奈緒美 写真/山口真由子)

(提供:オリコン)
2018/7/7 08:40 配信

アンパンマンの声優を「少しでも長くやりたい」と語る(C)oricon ME inc.
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